2021年1月18日(月)富山県へ要望書を提出しました

今年度、県内の各PTAからの意見を集約してまとめあげた要望書を

新田知事にしっかりと受け取っていただきました。

 

子どもたちを取り巻く環境が、昨年度までとはガラリと変わってしまいましたが

これまであった諸問題も含めて良い方向に導いてゆく絶好の機会と捉えて

何度も話し合ってまとめた要望書です。

 

子どもたちのために

新田知事

ぜひとも、よろしくお願いいたします!



要望書

 

 

 平素より、小中学校教育の振興に格別のご高配を賜りますとともに、PTA活動

に深いご理解とご協力をいただいていることに対し、厚く御礼申しあげます。

 私たち富山県PTA連合会は、「子どもは家庭で育て・学校で鍛え・地域で磨く」

の基本理念のもと、子どもたちの健やかな成長とPTA活動の発展を推進するとい

う目的を掲げ、貴職をはじめ富山県教育委員会や本県教育に携わる皆様とともに積

極的に取り組んで参る所存でございます。

 今年度は、年初から、社会全体が今までにはない事態に陥り、県内各小・中学校

や高等学校で一斉休校が行われるなど、例年では考えられない状況に子どもたちの

教育や生活、そしてPTA活動にも大きな影響を及ぼしました。私たちPTAが掲

げる要望は、子どもたちが安心して安全に学習活動を行い、教員が児童生徒と向き

合うための時間を十分に確保し、効果的な教育活動を行うことができることを基礎

としております。つまり、社会がどのように変わっても、決して大人たちの都合で、

『子どもたちの教育は止めてはいけない』ということです。

 未来を担う子どもたちは、わたしたちの『宝』であり『未来への希望』でもあり

ます。今後とも教育環境の整備推進と、子どもたちの心身ともに健全な成長に力強

いご支援を賜りますとともに、本連合会事業等への助成をはじめ、その他各要望事

項につきましても、格別のご配慮を賜りますようお願い申しあげます。

 

 

 

 

 

令和3年1月18日

富山県PTA連合会

会長 本江  学


要望事項

1 質の高い学校教育の持続と発

 

 (1) 教員の多忙化の解消と教育の質の確保

 

 (2) 基礎的な学力の定着と才能や個性を伸ばす教育の推進

 

 (3) 部活動運営の適正化と指導体制の整備

 

 

2 一人一人の児童生徒を大切にする教育の推進と充実

 

 (1) 少人数教育の推進ときめ細かな教育の充実

 

 (2) 特別支援教育の充実

 

 (3) いじめ・不登校対策と心の教育の充実

 

 

3 家庭・学校・地域で取り組む児童生徒の成長支援の推進

 

 (1) 家庭・学校・地域の教育力の向上

 

 (2) ネットトラブルへの対策と情報モラル教育の充実

 

 (3) 地域と連携した防災・防犯教育の推進

 

 

4 県PTA連合会の振興支援 


要望の概要説明

1 質の高い学校教育の持続と発展

 (1) 教員の多忙化の解消と教育の質の確保

 昨今働き方改革が叫ばれる中、新型コロナウイルス感染症の対応で、教員の多忙化に拍車がか

かっております。

 教員の多忙化解消のため、次の4つの取組を要望します。

① 学校現場における業務のスリム化

② 教員のなすべき業務と教員以外でも実施可能な業務の仕分け

③ 教員以外でも実施可能な業務の外部委託(有償委託、地域との連携)

④ 部活動指導員の積極的任用

 特に②については、「緊急スクール・サポート・スタッフ」の配置継続及び「スクール・サポー

ト・スタッフ」の配置拡充、また「GIGAスクールサポーター」及び「ICT支援員」の配置

等について、民間の専門家や地域人材の積極的かつ十分な活用や任用を要望します。

 また、富山県の教員採用試験の受検倍率の低迷が続いておりますので、教員という職業が夢と

やりがいのある魅力的な職業であることをPRし、志願者が増加するための継続的な施策の実施

をお願いいたします。

 さらには、教員の多忙化解消・教育水準の向上のため、「都道府県小中学校等教職員定数等の標

準の見直し」を引き続き国に働きかけ、その拡充にお力添えを賜りますようお願い申し上げます。

 

 

 (2) 基礎的な学力の定着と才能や個性を伸ばす教育の推進

  新学習指導要領の導入と新型コロナウイルスの影響が重なった本年は、あらためて「不確実性

の高い環境下を生き抜いていく力」(生きる力)とは何かを考えさせられる一年となりました。

 「とやま型学力向上総合支援事業」を中心に、確かな学力の育成を図る一方、令和の時代に求

められる富山県版の「真の人間力を育む教育の推進」をお願いいたします。

 一人ひとりの児童生徒が自分の良さや可能性を認識し、多様な人々と協働しながら豊かな人生

を切り拓き、持続可能な社会の創り手となるために、次の3つの推進を要望します。

① ICTを活用しながら個別に最適な学びを行う一方、協働的な学びを実現する教育

② 教師による対面指導や児童生徒同士による学び合い、多様な体験活動(学校行事や部活動を

 含む)を通して、他者とともに問題発見・解決に挑む資質・能力を育成する教育

③ 人権、命、思いやり、ふるさとへの愛着と誇りを育む教育

 また、小学校における英語学習、および小中高校におけるICT環境の整備(ハード、ソフ

ト)について、各市町村・学校間で格差が出ないような配慮をお願いいたします。

 

 

 (3) 部活動運営の適正化と指導体制の整備

近年、部活動のあり方が議論される中で「部活動指導員配置促進事業」の充実や「スポーツエ

キスパート活用推進事業」等、外部指導員の配置拡充を進めていただいており感謝申し上げます。

 しかし、少子化により部員の確保ができない場合や個人競技や少人数の競技では、顧問が確保

できず試合への参加ができない場合があるようです。

 「部活動の改革なくして教員の働き方改革なし」と考えますが、令和5年以降の休日の部活動

の段階的な地域移行を早期に推進し、一早く指導の一部を地域の指導団体に移譲・連携する地域

連携型部活動の推進をお願いいたします。教員の業務を改善しつつ、また富山県の次代を担う子

どもたちの夢を叶えるため、地域と連携し、弾力的な運営と一層の予算の拡充を図った「富山型

部活動」の推進をお願いいたします。

 

 

2 一人一人の児童生徒を大切にする教育の推進と充実

 (1) 少人数教育の推進ときめ細かな教育の充実

 小学校3・4年生及び中学校1年生での35人学級選択制の実施は、私たちの願う児童生徒への

きめ細かな学習及び生活の指導を行う環境づくりに寄与するものととらえています。しかしなが

ら、新たに感染症対策の事務も加わる中、40人学級での運営を余儀なくされることは、担任教員

の児童生徒に向き合う時間や教材研究の時間を困難なものにしていると感じます。

 県内の児童生徒一人一人に対するきめ細かな教育の充実のため「小・中全学年35人学級」の実

現をお願いいたします。

 また、県内で増加している外国人児童の支援について、日本語指導教員や外国人相談員の適正

な配置拡充とともに、スクールカウンセラー等の専門家について、より一層、利用しやすい環境

の整備をお願いします。また、地域で育まれた外国人児童・生徒が将来に希望が持てる高等学校

への進学を含めた就学促進とキャリア教育の充実をお願いいたします。

 

 (2) 特別支援教育の充実

 特別支援教育の充実について、障害のある児童生徒が小学校就学時前から高校卒業後に至る

まで各段階において指導と支援が受けられるよう、一人一人のニーズに応じた教育を推進する

ための取組を強化していただき、感謝申し上げます。

 学校現場の人員不足については、感染症対策の業務増加により、さらに厳しい状況ではありま

すが、特別な支援が必要な児童生徒への行き届いた教育を行うために、現在も実践していただい

ている巡回指導員や市町村における特別支援教育支援員の配置を推進するとともに教員との連携

を強化していただき、発展的な施策を講じていただくようお願いいたします。

 また、特別支援学校等における医療的ケアの実施に当たり、医療的ケア児本人の自立の推進や

保護者の負担軽減の観点から、看護師の配置及び増員をお願いいたします。

 特別な支援を必要とする児童生徒が、学校や地域において孤立感をもつことなく、共に育つこ

とができる環境を構築していくため、障害者差別解消法の目的や学校現場における対応等につい

て、児童生徒や保護者、教員、地域住民の理解が深まるような啓発活動の継続・充実をよろしく

お願いいたします。

 

 

 

 (3) いじめ・不登校対策と心の教育の充実

 いじめや不登校の未然防止の取組として、スクールカウンセラーの配置拡充、スクールソーシ

ャルワーカー等の専門家による相談体制の充実に努めていただき感謝申し上げます。今年度、新

たにスクールロイヤーの配置、いじめ対応ハンドブックの改訂にも取り組んでいただき心強く感

じています。

 その一方で、昨年度は県内のいじめ件数が、この5年間、増加の一途をたどり、過去最多にな

ったとの報道もありました。いじめの構造が複雑化する中、問題の早期発見・早期対応が可能と

なるようスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーのより一層の配置拡充と技能向上、

ならびに教員、保護者、関係機関の風通しの良い連携をお願いいたします。

 加えて、今年度は新型コロナウイルスの影響で、学校はもちろん社会にも偏見や差別といった

多くの問題が生じており、感染症やワクチン接種の進め方等への正しい知識を周知するなど、い

じめへの対策を含めて必要な運用やマニュアルの早期整備をお願いいたします。

 また、道徳教育や人権教育、命の教育等、学校教育や地域全体を通して、いじめや偏見、差別

を恥じ、互いを思いやり、尊重し合う心と行いの育成に向けた根気強い取組をお願いいたします。

 

 

3 家庭・学校・地域で取り組む児童生徒の成長支援の推進

 (1) 家庭・学校・地域の教育力の向上

 「とやま親学び推進事業」をはじめとした諸事業の拡充等、地域全体で児童生徒を育む教育環境

づくりを推進していただき感謝申し上げます。本連合会では、ウイズコロナ時代の中においても、

引き続き「親を学び伝える学習プログラム」の普及と「親学び講座」の開催を進めていきたいと

考えております。PTAの側でも、状況に応じた、開催方法の考察等を行いますが、より有意な

場での親学び講座の開催(就学時健康診断、半日入学の機会の利用)等、親学び推進事業の実質

的な効果向上の取組にもお力添えを賜りますようお願い申し上げます。

 また、引退された教員の方々等、地域人材を活用した「放課後子ども教室推進事業」や「中

学校放課後学習支援推進事業」等の継続、県下全市町村を対象とした拡充をお願いいたします。

 

 

 (2) ネットトラブルへの対応と情報モラル教育の充実

 近年、スマートフォンやPCの普及により、それらを利用する児童生徒が増加し、SNSを媒

介とするいじめ・ネット依存といったネットトラブルも増加・多様化しています。また、コロナ

禍を背景としたトラブルも加わっており、その防止には各家庭におけるしつけとルールづくりが

重要ですが、各家庭の努力だけでは対応しきれていないのが現状です。

 つきましては、専門家による指導及び啓発活動を継続的に実施していくための人材面、財源面

でのより一層のご支援をお願いいたします。

 さらに児童生徒の最新のインターネット利用の傾向に応じた監視や生命にかかわるような緊急

性の高い案件への即時対応が可能な「ネットパトロール事業」の継続強化、情報モラル教育の充

実及び深刻なケーススタディの情報共有等により、未然にトラブルを回避できる環境整備の強化

を引き続きお願いいたします。

 

 

 (3) 地域と連携した防災・防犯教育の推進

 富山県や市町村では災害への対策を強化し、各学校においても地域の特性を踏まえた危機管理

マニュアルに取り組まれていると聞いています。しかし、昨今の災害はこれまでの想定をはるか

に超えていることから、児童生徒一人一人が状況に応じた適切な行動をとれるよう、災害の種類

に応じて、実践的な避難訓練の経験を積んだ地域の方々と共に、自助力と共助力を高めていかな

ければならないと考えます。

 さらに、現代は犯罪が多様化しており、また有害鳥獣の街中への出没で、いつ児童生徒らが巻

き込まれてもおかしくない状況にあると懸念しております。そこで、『防犯上の指針』に示されて

いる犯罪機会論に基づく「地域安全マップ」の作成や「来校者誘導用ライン」の導入、加えて校

内ICT環境の充実による防犯・防災のリスク・マネジメント、児童生徒への自らの判断で自ら

の命を守るクライシ・スマネジメントといった危機回避意識の定着、教職員の危機管理能力の向

上、地域全体での見守り体制の拡充や情報の共有化等が必要と考えます。公助との連携を図り、

家庭・学校・地域をあげ、児童生徒自身と教職員も非常時における適切な対応ができるよう実践

的な防災・防犯教育の推進をお願いいたします。

 

 

4 県PTA連合会の振興支援

 今般の新型コロナ禍に見られるように、急速に変化する教育環境・教育活動の中で、学校と家

庭・地域社会を結ぶ懸け橋としてPTAが果たす役割は、これまで以上に重要なものとなってき

ていると感じます。私ども富山県PTA連合会は、「学校・家庭・地域社会」が相互の教育的役割

について理解を深め合い、その充実に努めながら、次世代を担う児童生徒の健全育成と環境改善

を図っていくための活動に、各市町村、各学校・地域で取り組んで参る所存です。

 引き続き本連合会の振興のため、力強いご支援、ご指導をお願いいたします。



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